9月末でKDDIローミングが一部終了となる楽天モバイルの今後

キャリア・通信

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鳴り物入りで通信事業に参入した楽天モバイルですが、2026年8月時点では、KDDIローミングという形で通信サービスを提供しています。

KDDIローミングの契約は、2026年9月末までが予定されており、残りひと月ちょっとの段階まで来ています。そのため、8月上旬の決算会見では、KDDI、楽天モバイルがそれぞれコメントを残している状況なので、ここではそれらをまとめながら、今後の展開もちらっとお話ししていきます。

ローミング契約は“部分的に終了”へ

8月の決算会見を先に行ったのはKDDI。楽天モバイルとのローミング契約について、代表取締役社長の松田氏は「当社の役割は終わった」とコメントしており、契約通り9月末での終了を示唆しています。

KDDI代表取締役社長の松田浩路氏

一方で、ローミング契約を“完全に”終了するわけではないとのことで、「ルーラルエリアについては、限定した場所で期間も限定することで、今後も協力していく」と話しています。つまり、郊外など、楽天モバイルのエリア整備が進んでいないエリアについては、引き続きローミングサービスを提供するとのことです。

ちなみに、8月時点でも楽天モバイルのエリア化が完了している場所では、KDDIローミングが順次終了となっています。SNSなどを見ていると、「楽天モバイルが前よりも繋がらなくなった」といった声を見かけますが、これはKDDIローミングの提供終了が一因でしょう。

KDDIの決算会見から3日後に行われた楽天の決算説明会では、楽天グループ代表取締役会長兼社長の三木谷氏が、「カバーを要するエリアに関しては、10月以降も契約にのっとって継続をしていく」とコメント。KDDIの説明とほぼ同じ内容になっています。

ローミングが終了するエリアについて、楽天モバイルの百野氏は、カバーが進んでいる都市部は縮小していく方針を示しています。松田氏、百野氏のコメントを合わせてみると、KDDIローミングは都市部で9月末に終了(契約通り)となるものの、ルーラルエリアでは限定的に継続されるということになります。

楽天の決算説明から2日後、楽天モバイルは「ローミングに関して」というプレスリリースを発表しています。短い文章ですが、改めて楽天モバイルがカバーに時間を要するエリアにて、KDDIローミングが10月以降も継続すること、カバーできているエリアはローミングが縮小していくことが明記されています。

【参照】楽天モバイル プレスリリース ローミングについて
https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2026/0812_01/

これは、KDDIの決算会見を受け、ローミングが完全に終了すると受け取られることを避けるためのものでしょう。ただし、都市部では縮小、ルーラルエリアでは継続と説明されても、具体的にどの地域でローミングが継続するのかが明かされていないため、ユーザーが不信感を募らせるのも無理はない状態です。

部分的なローミング終了でKDDI、楽天モバイルは今後どうなる

部分的ながら、9月末にローミング契約が終了することで、KDDIは楽天モバイルに貸し出していたネットワークを、自社ユーザーに改めて割り当てることができるようになります。サービスのリッチ化が進み、ユーザーのデータ通信量が増え続けている現状を鑑みると、より安定した通信サービスが提供できるようになるのは大きなメリットでしょう。

一方、楽天モバイル側にも一応のメリットはあります。ローミング契約には、当然多額の接続料が発生しており、これが現状は楽天モバイルの大きな負担となっているため、ローミングエリアが縮小されることで、費用の削減につながります。ユーザーの快適さを度外視し、金銭面だけを見れば、連結最終黒字化を目指す楽天モバイルとしてはメリットと言えるでしょう。

ただし、ローミングが終了するエリアにて、楽天モバイルがどれほど快適に使えるのかは未知数。すでにユーザーからは不満の声が上がっているように、決して期待できる状態ではありません。10月以降、ネットワーク品質が低下し、せっかく1000万回線を突破した契約者が離れていく可能性すらあります。

実際、ローミング契約の終了を見越してか、KDDIはUQ mobile、ソフトバンクはワイモバイルで割引やキャンペーンを開始、povo 2.0にも新たなトッピングが追加、ドコモはahamoの上限を40GBに増やしています。楽天モバイルの上限である、ひと月3000円前後の料金プランにて、競争が激化しているというわけです。

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低価格で使い放題プランを提供する楽天モバイルにはなんとか粘ってもらいたいところですが、7年にわたりローミングとしてKDDIの助けを受けながら通信サービスを提供し続けている現在の姿勢は、果たして本当にMNOとしての責務を果たしているのかという疑問があります。個人的には、通信サービスがインフラであり、国から周波数を割り当てられてサービスを展開している以上、一定の品質で通信ができることは絶対条件であると考えています。

また、楽天モバイルの2026年度設備投資計画は2000億円となっており、先般の決算説明会でも「期初計画変更なし」と発表しているのが引っかかるところ。ローミング契約の終了が間近に迫り、自社エリア化を急がなければならないタイミングで、2000億円ではとても足りないのではないかという疑問は拭いきれません。

【参照】楽天 2026年度決算短信・説明会資料
https://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/

楽天モバイルの衛星通信サービスに期待はできるのか

楽天モバイルの通信エリア整備において見逃せないのが、今年中に開始予定となっている「Rakuten最強衛星サービス」です。通信キャリア3社とは違い、アメリカのASTとタッグを組み、巨大なアンテナを搭載した衛星を50基ほど打ち上げて、日本全国をカバーする計画となっています。

楽天モバイルの説明では、Starlinkでの衛星通信とは異なり、音声通話や動画視聴といった高速インターネットの提供も可能とされています。ブロードバンドの提供を目論んでいるとのことですが、24時間、全国津々浦々で衛星通信ができるのかという疑問があります。また、ブロードバンドでの提供となると、地上基地局との干渉といった課題も出てきます。

現状、楽天モバイルは衛星通信サービスや自社エリアの拡充で補完する方針を示していますが、設備投資額の据え置きや衛星通信の技術的課題を考えると、10月以降すぐに快適な通信環境が整うとは言い難いのが現実でしょう。競合他社が低価格帯での攻勢を強めるなか、楽天モバイルが契約者を維持し続けられるかどうかは、ローミング終了後のネットワーク品質にかかっています。今後の動向を注視していきたいところです。

*記載内容は、公開日もしくは更新日時点のものです。最新情報については、必ず各公式ページをご確認ください。

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佐藤文彦

塾講師からの転職後、編集プロダクションを経てフリーライターに。ケータイ業界を中心に、ガジェット、通信技術に関する情報を幅広く取材中。三度の飯よりレビューが好き。スマートウォッチを付けていられる腕が足りないことが最近の悩み。(X:@fumihiko_sato_x

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