2026年8月中旬、ソフトバンクのプレスツアーという形で、京都の清水寺にお邪魔してきました。なんでも、今年2月に基地局を建設したことで、通信環境が改善したとのこと。
清水寺は言わずと知れた観光地であり、筆者が訪れた平日、昼間のタイミングでも、国内外からの観光客がごった返している環境です。強靭なネットワーク対策が必要となるエリアである一方で、清水寺ならではの難しさもあるようです。
インバウンド急増で迫られた電波対策は景観条例との戦い
清水寺周辺は、以前から通信の課題を抱えていたとのことですが、顕著になったのがコロナ明けのインバウンド需要増加です。早急な対策が望ましいエリアではありますが、障壁となるのが京都市の景観条例。超ざっくり言えば、京都ならではの景観を損ねてはいけないというルールで、基地局建設においても、高さや色などに制約が設けられています。
また、清水寺内に基地局を建設する場所を設けることも難しく、対策は難航していたとのこと。そのため、2月以前は清水寺の敷地外にある基地局からの電波と、清水寺の敷地内にある小さな2.1GHz帯アンテナのみで対応していました。
難航していた電波対策ですが、清水寺側との協力により、なんとか設置できそうな場所を見繕った結果、今回の基地局建設に繋がったとのこと。これにより、清水の舞台周辺は電波状況が改善し、以前は10Mbps程度に落ち込んでいたものが、少なくとも100台程度の同時接続があっても、100Mbpsほどの速度は維持できるとのこと。タイミング次第では、Fast Accessの有用性も体感できるようになっています。
実際、平日の11時から12時ごろまで清水寺を一周しましたが、ソフトバンク回線が繋がりにくくなるタイミングはありませんでした。あくまで体感ですが、KDDIもそこそこ安定している印象でしたね。あとは察してください。
夜間工事に手掘り作業、景観に溶け込む基地局ができるまで

基地局を設置する場所探しが最も苦労したポイントと語るソフトバンクですが、当然、場所の問題がクリアになった後にも、大変なポイントは多数あります。人の往来がある清水寺内であるため、工事は夜間のみに限定されているのに加え、設置場所へとアクセスするための道は狭く、長い柱は2分割して持ち込む必要があったとのこと。加えて、地下には埋設配管があるため、初期段階では手掘りで作業を行ったといいます。


こういった苦労を重ねて設置された基地局は、焦茶色の塗装が施されたり、通常の大きな受電盤の代わりに、小型のものが2つに分けて設置されたり、配線が剥き出しにならないようになっていたりと、景観を損ねないように配慮されたものになっています。

アンテナの高さは最高14.9mの位置になり、長短2種類が同じ高さになるように取り付けられています。短い方が3.4GHz帯、3.5GHz帯、3.9GHz帯となり、長い方が900MHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯となっており、今後700MHz帯の追加が予定されています。
エリア整備は衛星通信にも期待
以前の記事でも紹介した通り、近年の通信品質はKDDIとソフトバンクが優位で、ドコモと楽天モバイルが後手に回っている状況です。Opensignal社の調査では、KDDIが体感1位を獲得し続けているものの、常に僅差でソフトバンクが2位につけています。
つまり、それだけの品質を持つソフトバンクであっても、今回の清水寺のように整備が追いついていない部分があるということです。コンテンツの増加、インバウンド需要などさまざまな要素があり、トラフィックは年々増加傾向にあることからも、「基地局を建設したら終わり」とはいかないのでしょう。
エリア整備において期待したい1つが、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが提供するStarlinkでの衛星通信でしょう。楽天モバイルも、ASTとタッグを組んで準備を進めています。衛星通信であれば、景観条例等は関係がないですからね。ただ、どこまで安定した通信サービスを提供できるのかにおいては、今後の課題となりそうです。
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