「ドコモ回線が繋がりにくい」と言われはじめ、はや数年が経ちました。ドコモからMNPした人も、継続してドコモを使っている人も多いと思いますが、2026年5月時点でも、まだまだ通信品質が改善したとは言い切れない状況です。
最近はSNS上で「ahamoが特に繋がらない」といった話題が盛り上がりましたが、こちらは5月8日に行われた決算会見にて、前田義晃社長が否定。結果として、ahamoだけではなく、ドコモ全体の品質が芳しくないことが露になってしまいました。
本記事では、そもそもなぜドコモの通信品質が低下してしまったのか。また、現在ドコモが打ち立てている改善施策についてまとめていきます。
ドコモの通信品質はなぜ低下してしまったのか
もともとは通信品質に優れることで知られていたドコモ。少なくとも筆者がライターとなり、モバイル業界の取材をするようになった2020年ごろには、エリアによる差はあれど、ドコモの品質が悪いといった話は一切耳にしませんでした。ドコモの品質低下がささやかれるようになったのは2023年ごろです。
2023年4月に開催されたドコモの5Gネットワーク戦略に関する説明会では、速度低下の主な要因として「トラフィックの増大」「再開発などによるエリア変動」「瞬速5Gエリア構築の遅れ」「特定周波数の逼迫」の4つが挙げられています。
トラフィックの増大については、主にコロナ禍明けの需要を読み違えたことが原因とされています。ただ街中に人が戻ってきたのではなく、抑制されていた分、ひとはより繁華街に集まったのに加え、コロナ禍でリッチになったコンテンツを引っ提げて戻ってきたことで、基地局のトラフィックに対する容量設計が不足していたとのことです。
加えて、渋谷といった特に品質低下が話題となった場所では、再開発が進んでいる場合もあり、基地局の撤去をしなければならず、もともとカバーできていた基地局から、違う基地局へとトラフィックが流れるといったこともあったようです。
とはいえ、これらの状況は他キャリアでも同様ですから、ドコモが先を読み切れていなかったと言わざるを得ません。前社長の時代には、設備投資も含めてコストカットに注力する方針でしたから、この辺りも響いているのでしょう。
他キャリアと大きく違いが出たのが、エリアの構築と設備投資です。5Gには、これまで使われていた低い周波数帯を使って整備する5Gと、新たに5G向けに割り当てられた高い周波数帯を使って整備する5Gの2種類があります。5G通信のサービスイン当初、前者は「なんちゃって5G」などと揶揄されることもあり、ドコモは後者の整備に力を入れ、「瞬速5G」とうたって、高速通信をアピールしていました。

ところが、特に都市部での瞬速5Gの基地局整備に苦戦し、予定通りに設置することができなかったとのこと。結果、急増したトラフィックは4Gに流れてしまい、こちらが混雑してしまいました。5Gエリアの広げ方に対する考え方の違いで、他キャリアとの品質にここまでの差が出ているとも解釈できます。
積極的な設備投資もすぐには実らない現実
ざっくりとではありますが、ドコモの通信品質が低下した主な原因は上述の通り。では、5G基地局を設置するなど、設備投資を行えば解決するのかというと、そう単純な話でもありません。
実際、ドコモは2023年に300億円の先行投資を行い、全国2000か所や主要鉄道沿線での集中対策を実施。2025年度下期には、上期の3倍ペースで基地局構築を進めています。以前は消極的だった、4G向け周波数の転用も進めており、5Gカバーエリアの拡大に着手しています。

また、2026年3月末で停波した3Gで使用していたプラチナバンドをフルLTE化し、4Gの通信容量を従来の1.5倍に拡大予定となっています。これまで中心だった国内ベンダーから脱却し、世界的な運用ノウハウや最新技術を持つエリクソンなど、海外ベンダーの通信機器の本格導入に舵を切っているのも、1つのポイントでしょう。

とはいえ、「ネットワークは生き物」と言われるほど、チューニングは難しいものです。干渉の問題などもあり、ただ基地局をうてばいいという問題ではありません。渋谷駅といったスポットで対策を行っても、今度はその周辺で繋がらなくなるといった影響が出てくることもあります。
3Gで利用していたプラチナバンドのLTE化はまだまだこれから進んでいくでしょうから、今後どんどん品質が改善していくことには期待したいところですが、それも「今すぐに」という話ではないでしょう。品質において先行するKDDI、ソフトバンクに対し、いつ頃追いつけるのかには、まだ疑問が残る状況です。
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