新型iPhoneシリーズが発表されていますが、今年の話題はなんといっても折りたたみ。アップル初の折りたたみスマートフォンとして、「iPhone Duo」が発表されました。
発売が10月にずれ込んでいるのが残念なところですが、買うか否か悩む時間をたっぷりといただけたということで。ここでは細かなスペックは置いておき、インパクトのある価格設定について、個人的な見解をまとめていきたいと思います。
36万4800円の価値を感じられるのか
機能面の優劣は色々とありますが、まずは避けて通れない価格のお話から。Apple Storeではストレージ256GBが36万4800円からとなっており、日本で発売されている折りたたみスマートフォンとしても最高値になりました。なかなか腰が引ける金額です。

執筆時点では通信キャリアでの販売価格が公表されていませんが、Apple Storeよりも高くなることはほぼ確実。そうなると、最小構成ですら40万円に手がかかる可能性もあります。とても「買うべき」とは書けない金額です。
キャリアでの取り扱いは、おそらく今回も端末購入プログラムが用意されるでしょうから、実質負担額を抑えること自体は可能でしょうが、仮に半額になったとしても20万円程度の出費です。20万円って、国内旅行ならだいぶ贅沢できますよ。
それだけの金額に対し、ユーザーはお金を払う価値を感じられるのかが、購入するか否かを分けるポイントとなります。
全部載せで体験価値を重視してきたアップルの戦略
スマートフォンには、おおまかにエントリー、ミドル、ハイエンドと、3つの価格帯が存在します。iPhone Duoは、ハイエンドモデルの中でも、各メーカーが取捨選択をするところで、全部「取」の選択をしたような端末になります。
顕著なのが、ライバル機であるGalaxy Z Fold8との対比。折りたたみスマートフォンを8世代続ける中で、サムスンが「捨」の選択をしてきたペン対応、アンダーディスプレイカメラ、フレックスモードといった要素を全部盛り込み、不足のない構成に仕上げられています。



この全部載せの構成により、折りたたみスマートフォンでの体験を、一般的な板状スマートフォンとは違うものに仕上げようという意図が見えます。特にフレックスモードがないGalaxy Z Fold8は、「ただ大画面が折りたためるだけ」になってしまっている印象もあるので、スマートフォンが折りたためる意味を提案するという意味では、非常に理に適った戦略だと感じます。
個人的には、折りたたみスマートフォンで重要なのは、「折りたためること」ではなく、「折りたたんで何ができるのか」にアプローチすることだと考えています。「折りたためるから大画面でペンを使えると便利だよね」、「折りたためるから内側のインカメラは性能が落ちても見えないほうがいいよね」、「角度を付けられるから新しい体験ができるよね」といった具合です。
アップル初の折りたたみスマートフォンが全部載せとなったのは、部材高騰といった影響もあると感じます。無理やり20万円台前半程度で折りたたみスマートフォンを出そうとすると、妥協しなければならないポイントが多数出てくる状況ですから、高値になってでも体験価値に振り切ったと考えると、納得感があります。
Galaxy Z Fold8に劣る部分もある
全部載せの正真正銘ハイエンド折りたたみスマートフォンとなったiPhone Duoですが、Galaxy Z Fold8に劣ると言わざるを得ない部分もあります。顕著なのが質量と厚みで、Galaxy Z Fold8が約201g、厚さ4.5mm(閉じた状態)なのに対し、iPhone Duoは約254g、5.2mm(閉じた状態)となります。

iPhone Duoが重く、厚くなったのは、機能を全部載せにしたからでもあります。薄さ、軽さを重要視したサムスン、そこはある程度犠牲にしながらも、機能を重要視したアップルと、方向性に違いが表れているのも面白いところです。
個人的に気になるのは、iPhone Duoの横幅です。開いた状態はタブレット的になるのでいいのですが、閉じた状態でも幅は約84.1mmになります。Galaxy Z Fold8は幅約81.9mmで、iPhone Duoよりはまだスリムなのですが、それでも文字入力はしにくく、アプリのレイアウトが微妙なものも見られます。アウターディスプレイは5.4インチで、数字上はiPhone 13 miniと同じなのに、こんなに使用感が違うのかと思うくらいです。

アップルとしては、新製品発表イベント後に、開発者向けにデザインの動画を公開しており、UIに相当な情熱を注いでいることがうかがえるので、どこまでUIで広い横幅に対するアプローチができているのかは期待したいところ。この辺の操作感は、実機にてあらためて紹介できればと思います。
金額から見るiPhone Duoの立ち位置
最後に、金額についてあらためて整理しておきましょう。iPhone Duoの36万4800円(256GB)という価格は、折りたたみスマートフォンとしても、iPhoneシリーズとしても、過去最高値です。昨年発売されたiPhone 17 Pro Maxの最上位構成すら超える金額であり、数字だけを見れば「高い」と断じるほかありません。
しかし、ここまで見てきたように、iPhone Duoはアップルが折りたたみスマートフォンに対して出した「回答」そのものでもあります。ペン対応、アンダーディスプレイカメラ、フレックスモードと、ライバルが世代を重ねる中で削ぎ落としてきた要素をすべて搭載し、「折りたためることで何ができるのか」を提示しようとしています。その全部載せの構成が、36万円台という価格に直結しているわけです。
つまり、この金額は単なる「部品代+利益」ではなく、「折りたたみスマートフォンの体験価値をフルスペックで提案するためのコスト」と捉えるのが妥当でしょう。20万円台で中途半端な折りたたみを出すよりも、高くても体験として完成度の高いものを出すという判断が価格に表れています。
とはいえ、36万円超の端末を「お買い得」と言うつもりはありません。キャリアの端末購入プログラムを使っても実質負担はおそらく20万円前後。冷静に考えれば、それなりにハイスペックなノートPCが1台買える金額です。万人に勧められる製品ではないことは明らかでしょう。
ただ、「折りたたみスマートフォンで何ができるのか、まだ見えていない」と感じている人にとっては、iPhone Duoはその答えを体験できる、現時点でもっとも完成度の高い1台になる可能性があります。36万4800円という数字に見合う体験が本当に詰まっているのか、最終的な回答は、10月の発売後、実機を手にしてからあらためてお届けしたいと思います。
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