コンパクトボディはそのままに進化した「arrows We3」が登場。FCNTの最新エントリーモデルを試す

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FCNTのエントリースマートフォン最新モデルとして「arrows We3」が6月11日に発表されました。発売は、6月25日となります。

前モデルにて用意されていた“Plus”モデルはなく、1モデルのみの展開。メモリを含む部材価格の高騰により、ローエンドモデルの開発は困難な状況に陥っていることからも、苦しい選択だったのかもしれません。

一方で、arrows We3は製品の特長であるコンパクトボディを維持しながらも、細かなポイントをしっかりとアップデートすることで、日本では根強いニーズを押さえた1台になっています。では、進化点を中心にarrows We3を深堀していきましょう。

徹底的にこだわった「コンパクト」と「デザイン」

みなさんご存じの通り、近年のスマートフォンは大型化の傾向にあります。特にエントリーモデルは、海外メーカーの参入や、大画面ディスプレイの方が調達コストが安いという理由から、大画面モデルが主流になってきているといいます。

しかし、日本のユーザーからは依然として「小さいサイズのスマホが欲しい」という根強いニーズがあります。FCNTの調査によると、ローエンドモデル購入者の場合は、大きいディスプレイより、小さいディスプレイを好むユーザーが約2倍もいるとのことです。

そこでarrows We3は、前モデルの高評価ポイントであった「薄さと幅」をキープし、手になじむサイズ感を実現。薄さ約9.0mm、幅約73mmに収められた本体は、デザインを見直すことで、前モデルからコンマ数ミリのシェイプアップが施されているとのことです。

また、前モデルはカーブが強い、曲線的なデザインを採用していましたが、ユーザーからは「少し古臭い」という意見があったとのこと。そこでarrows We3では、背面をフラットに近づけながら、手が当たるエッジ部分にはわずかにカーブをつけることで、握りやすさとグリップ感を両立させ、高級感もプラスされています。

実機を触ると、カーブが小さくなったことで筐体としての美しさを増しながらも、わずかに湾曲した両端が絶妙な握り心地を実現している印象です。特に近年はコンパクトなモデルが非常に少ないのに加え、背面から側面まで角ばったデザインのモデルも多いため、かなり持ちやすい印象を受けました。

液晶パネルながら120Hzリフレッシュレートに対応

ディスプレイは6.14インチの液晶パネルで、解像度は900×1984。ローエンドモデルではHD解像度のモデルが多い中で、特注のパネルを使用することで、HD以上、FHD未満の解像度を実現しています。最大輝度は、1000ニトです。

驚きなのが、最大120Hzリフレッシュレートに対応している点でしょう。液晶パネルのエントリーモデルながら、滑らかな動きを実現しているので、シニア層やスマートフォンデビューにもおすすめしやすくなっています。

コンパクトモデルでも5000mAhのバッテリーを確保

バッテリーは前モデルが4500mAhだったのに対し、5000mAhへと大容量化しています。近年はシリコンカーボンバッテリーを搭載し、より大容量のバッテリーを搭載するモデルも増えてきていますが、エントリークラスである点や、コンパクトなディスプレイを採用していることからも、十分な容量だと考えられます。

また、1.5日に1回、1%から100%までの充電を繰り返した場合でも、5年後に最大容量の80%を維持できるとのこと。実際の駆動時間は試してみなければわかりませんが、長期的な利用を考えて設計されている点には好感が持てます。

加えて、エントリーモデルながらダイレクト給電にも対応しています。ヘビーにゲームアプリなどをプレイする端末ではないので、どこまで使用するシーンがあるのかは疑問ですが、バッテリーをいたわる機能がしっかり搭載されているのは強みでしょう。

耐久性は上位モデルと同等の世界最高水準

arrowsシリーズの強みである耐久性はしっかりと担保されており、IPX6/8/9の防水性能、IP6Xの防塵性能、MIL-STD-810H 23項目に準拠しています。1.5mからの落下でも画面が割れにくい構造を採用しており、さすがarrowsといえる堅牢性になっています。

加えて、アルコール除菌にも対応しており、スマートフォンを清潔に保ちたいというユーザーには特におすすめ。どんな持ち方、使い方をするのか見当もつかない子どもに持たせる端末としても、帰ってきたら除菌をするといった使い方ができるのは魅力でしょう。

シニア、ジュニア世代にも優しい機能を搭載

小中学生向けのスマホデビュー用として、「ジュニアモード」(Googleファミリーリンク連携や使いすぎ制限)や、若者言葉にも対応したキーボードのカスタマイズ機能も搭載します。

シニア向けには、海外からの怪しい国際電話を一律拒否する設定や、通話中の音声をAIが解析して詐欺シナリオに当てはまると警告を出す「迷惑電話・詐欺対策機能」がアップグレードされています。

また、シニア層向けに、電話・メッセージ・カメラなど「4つのアイコンだけ」を大きく配置した、極めてシンプルなホーム画面を新たに設定できるようになりました。従来、診断サポートとして搭載されていた機能は「QAサポート」へと進化しており、AIにチャット形式で質問すると端末内の設定項目を案内してくれる機能となっています。

エントリーモデルながらソニーの高画質センサーを採用

安価なモデルとなると、操作性や機能に妥協をする端末というイメージが強くなります。もちろん価格なりの部分が出てくる点は否定しませんが、arrows We3は「この価格でできること」を突き詰めているような印象を受けます。

その最たる例がカメラ。シングルカメラではありますが、ソニー LYTIA 600を採用した50MPのカメラとなっており、前モデルから暗所撮影に強くなりました。ノイズを抑え、細部のレンガや建物の質感までくっきりと写し出す高い解像感を実現しています。また、名刺やマイナンバーカードなどを斜めから撮っても綺麗にスキャンできるモードも備えています。

また、本機は最大2TBのmicroSDXCにも対応しているため、写真や動画といったデータを多く持ち運べるのも強み。これまでSDカード対応スマートフォンを使っていた人にとっては、乗り換え先の少なさが深刻な問題となることからも、対応を継続してくれた点はありがたいところです。

ほかにも、本体側面には、arrows Alphaにも搭載されていた、ボタン1つでGeminiなどの好きなアプリを即座に呼び出せる「アクションキー」が踏襲されています。これにより、最新のAI機能などへ簡単にアクセス可能です。また、「Exlider」といった独自機能も、引き続き搭載されています。

情勢を鑑みたSoCとメモリ、ストレージ構成

チップセットには、MediaTek製の「Dimensity 6300」を採用。前モデルは「Dimensity 7025」だったため、瞬間的な処理能力は劣ることになりますが、メモリ価格の高騰に加え、前チップセットは品質や動作が不安定だったため、安定してパフォーマンスが出せる「Dimensity 6300」をあえて選択し、サクサク感を担保するチューニングを行ったことが要因とされています。

メモリ価格が世界的に急騰していることもあり、基本モデルは前モデルから据え置きとなるメモリ4GB/ストレージ64GB。SDカード対応であるため、ストレージはそこまで困らないかもしれませんが、AIの高度化といった現状を鑑みると、4GBメモリがあと何年使い続けられるのかはわかりません。

顕著なのがアップデート保証です。メモリ4GBの端末が将来的なOSアップデートに耐えうる保証がないため、OSのメジャーアップデートは「1回(Android 17相当まで)」、セキュリティパッチの更新は「3年」までしか担保できないとのこと。情勢を鑑みると致し方ない部分ではありますが、少々苦しい采配と言えます。

エントリーモデル開発の難しさ

細かなブラッシュアップがあり、シニア、ジュニア層のファーストスマートフォンにはいい端末だと思えるarrows We3ですが、チップセットやメモリの構成、Plusモデルの廃止といった状況を見ると、苦しみの中で生まれた端末であることもうかがえます。

これはFCNTがどうこうという話ではなく、世界的なメモリ、部材価格の高騰が大きな要因です。特に安価に構成することが求められるエントリークラスのモデルを作るのは、フラッグシップモデルの開発とは別ベクトルの難しさがあるのでしょう。

そういう意味では、継続してarrows We2シリーズを販売し続けるという選択肢もある中で、しっかりとアップデートを施した新モデルを開発したFCNTには頭が上がりません。エントリーモデル水準の価格で発売する場合、採算が取れるのかも疑問に思うほどですからね。

らくらくホンといい、FCNTは時折、収益よりも「社会意義」のようなものを重視して端末を開発、発売する印象があります。筆者はarrows We3のターゲットユーザーでないことは明白ですが、こういうメーカーにしっかりと儲かって欲しいなとすら感じています。

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佐藤文彦

塾講師からの転職後、編集プロダクションを経てフリーライターに。ケータイ業界を中心に、ガジェット、通信技術に関する情報を幅広く取材中。三度の飯よりレビューが好き。スマートウォッチを付けていられる腕が足りないことが最近の悩み。(X:@fumihiko_sato_x

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