ガジェットライターをやっていると、毎年恒例の質問として「今年のベストバイは?」と聞かれます。いつも頭を悩ませる質問なのですが、今年は特に頭を抱えてしまいました。
候補として外せないのは「Galaxy Z Fold7」。昨年からの進化という意味で、薄型軽量化が市場に与えたインパクトは相当なものです。今年一番の衝撃は?と問われれば、この端末をあげるでしょう。
別の候補として考えたのが、「iPhone Air」です。iPhoneのナンバリングシリーズにとらわれない、新しいプロダクトとして登場した端末で、持ちやすさ、扱いやすさはベストです。
ニッチな枠ですが、個人的にとても気に入っているのは「REDMAGIC 10 Air」です。REDMAGICシリーズの特徴である空冷ファンは搭載されていませんが、代わりに防水に対応。ゲームに寄った機能はユニークで、使っていて楽しいモデルとなっています。
あれこれと考え、迷走すること数日。「よくよく考えたら、今年一番触っていた時間が長かった端末って、これなのでは」という端末を思い出しました。それが「nubia Z70 Ultra」です。
「思い出した」と表現したのは、ここ数週間はあまり触っていなかったから。そもそも2025年のかなり前半に発売されているのに加え、12月5日に最新モデルの「nubia Z80 Ultra」が発売されており、レビュー機をメーカーからお借りしていた関係で、しばらく日の目を見ることがありませんでした。
せっかく新モデルが登場しているので、本記事ではnubia Z80 Ultraのレビューという形で、nubia Z70 Ultraから引き続き搭載されているお気に入りポイントを中心にご紹介していきます。
欠けのない大画面ディスプレイの圧倒的な没入感

nubia Z80 Ultraの本体サイズは、高さ164.5×幅77.2×厚さ8.6mm、質量約227g。2025年のスマートフォン市場でトレンドとなった、薄型軽量化とは相反する、大きくてヘビーな端末ではあります。はっきり言って、ここは好みが分かれる部分でしょう。重さ、サイズは、nubia Z70 Ultraとほとんど変わっていません。


ただし、nubia Z80 Ultraの方が握りやすさは向上しています。側面から背面にかけて、カーブが強くなったことで、手に馴染む感触がアップしており、しっくりくるデザインになりました。

細かな変更点ですが、カメラユニットの面積が小さくなった代わりに、レンズの出っ張りは大きくなっているため、机に置いた際のがたつきはやや大きくなりました。

ディスプレイは6.85インチのOLED、解像度は2688×1216、リフレッシュレートは最大144Hzとなります。色表現が綺麗で、ベゼルも細く、ハイエンドモデルに相応しい、高性能なフラットディスプレイとなります。

nubiaの特徴が、多くのモデルにUDC(アンダーディスプレイカメラ)が搭載されている点です。大きな画面欠けがなく活用できることが筆者のお気に入りポイントであり、nubia Z70 Ultraを愛用し続けた理由の1つ。nubia Z80 Ultraにも、しっかりと踏襲されているポイントです。

ちょっとしたポイントかもしれませんが、動画視聴、ゲームプレイ時に、欠けのないディスプレイで楽しめるのは有意義です。特に、iPhoneに搭載されているDynamic Islandと比べると、大きな違いを感じます。


側面には音量ボタン、電源ボタンのほか、右側面にシャッターキー、左側面にスライドスイッチが搭載されています。シャッターキーは後述するとして、スライドキーはゲームスペースの起動、フラッシュライトのオン/オフ、ボイスレコーダーの開始/終了といったショートカットが割り当てられます。

特定の動作をすぐに呼び出せるのは便利なのですが、できればiPhoneのアクションボタンのように、もう少し柔軟性が欲しいところ。決済アプリの起動などが割り当てられると、さらに利便性が向上するので、ここは今後のアップデートに期待したいと思います。
REDMAGIC譲りのゲーム機能も搭載

大きく欠けのないディスプレイを活かせるのがアプリゲームです。nubiaにはゲーミングブランドのREDMAGICがありますが、nubia Z80 Ultraにも、同等のゲーム制御エンジン、ゲーミングアシスト機能「ゲームスペース」が搭載されているのが特徴です。

ゲームスペースでは、画面の制御、通知の設定ができるだけでなく、画面の一部を拡大して大きく表示する虫眼鏡のような機能や、足音を大きくする機能など、特定のゲーム時に活躍する機能も含まれています。
特にnubia Z80 Ultraには、液体金属と3Dベイパーチャンバーが搭載されており、nubia Z70 Ultraと比較してもゲームプレイ時の放熱性、安定感がアップしている印象があります。正直、nubia Z70 Ultraでも快適にプレイできないアプリゲームはほぼない状態ですが、より長時間プレイするのであれば、最新モデルの優位性がしっかりと感じられます。
REDMAGICブランドからは、水冷機構を搭載したREDMAGIC 11 Proが発売されており、よりゲームに特化するのであればこちらがおすすめとなりますが、nubia Z80 Ultraは、ゲーム機能に特化したモデルではないものの、かなり高いパフォーマンスを発揮できることが魅力でしょう。
さっと美しい写真が撮影できる3眼カメラ

アウトカメラは50MPメイン、50MP超広角、64MP望遠の3眼構成、フロントカメラは16MPとなります。愛用していたnubia Z70 Ultraには、物理的な可変絞り機能が搭載されていましたが、nubia Z80 Ultraでは非採用。ここは正直、残念なポイントです。
ただし、精細な表現、背景の抒情的なボケ感は健在です。可変絞りは、使っていくと楽しい機能ではありましたが、サッと構えて撮影する機会が多い、スマートフォンのカメラとしては、設定項目が多くなります。難しいことを考えず、いつでも綺麗な写真が撮影できるという意味では、nubia Z80 Ultraの方が実用的なのかもしれません。
1つ触れておきたいのが、nubia Z80 Ultraのメインカメラは、焦点距離が35mmである点です。アイコンをタップすると50mmに切り替えられますが、いずれも一般的なスマートフォンのカメラと比べると、かなり被写体に寄っている状態になります。慣れれば違和感はなくなりますが、最初は少々戸惑うかもしれません。







メインカメラの焦点距離が長いことを考えると、重要になるのが超広角カメラです。前モデルからセンサーサイズが大型化したnubia Z80 Ultraは、超広角カメラの実用性が抜群に上がっているのが、お気に入りポイントでした。


望遠カメラは前モデルから引き続き5倍光学となり、テレマクロ撮影にも対応。メイン、超広角カメラと比べると、若干精細さに欠ける印象もありますが、AIの補正もしっかり入り、実用的なレベルに仕上がっています。

16MPのフロントカメラはUDCということもあり、画質はあまり良くありません。セルフィーを撮影する機会がほぼ皆無である筆者は、全くと言っていいほど気にしていませんが、使用頻度の高い人、Web会議などにスマートフォンから出席するという人は注意が必要です。
カメラの即時起動、AFロックもできるシャッターキー

優秀なカメラの使い勝手を向上させるのが、本体右側面のシャッターキーです。iPhoneに搭載されているカメラコントロールと比較すると、かなり低い位置に配置されているため、本体を横に構えた際、アクセスしやすいのが特徴です。
シャッターキーでは、ロック画面やその他のアプリ画面から、即座にカメラアプリを起動できます。起動時の撮影モードも予め設定できるので、使いやすいものにしておくといいでしょう。
カメラアプリを起動した状態では、シャッターキーの半押しでAFロックが可能。長押しで連写もできます。アクセスのしやすさ、機能面を見ても、スマートフォンに搭載されているシャッターキーとしては、かなり理想に近いものに仕上がっていると感じます。
カメラ機能に特化したスマートフォンは市場に溢れていますが、このシャッターキーの使い心地に慣れてしまうと、なかなかほかの端末には戻れないほどの魅力があります。これこそ、筆者がnubia Z70 Ultraを使い続けた理由の1つです。
超強力なバッテリーと文句なしのハイスペック
搭載バッテリーは7200mAhで、最大80Wの急速充電に対応しています。前モデルは6150mAhで、そもそも大容量ではありましたが、スペック上は約1000mAhも容量を拡大した格好となります。
6150mAhでも大容量であり、1日持ち出しながら、写真撮影やゲームをしていても、バッテリーが切れる心配はありません。そのため、7200mAhを搭載したnubia Z80 Ultraで、使い勝手が向上するというわけではありません。そもそもレベルが高いゆえに、違いを感じにくいのが寂しいところです。
一方、明確に違いが生まれるのが、新たにワイヤレス充電に対応した点です。Qi規格対応で、最大15Wの充電ができます。充電はワイヤレス派という人にも朗報でしょう。
搭載SoCはSnapdragon 8 Elite Gen5。前モデルから順当にフラッグシップチップセットを更新した格好となります。メモリは16GBで統一されました。前モデルの処理能力に不満があったわけではありませんが、先に触れた通り、放熱性能も高いため、本体温度の上昇はより感じにくく、安定感が増している印象です。
そのほか、防水防塵性能はIP68、IP69で、デュアルSIMに対応。スピーカー品質も高く、3D超音波式の指紋認証センサー、顔認証機能も備えるなど、盤石の構成となります。
強いて言えば、eSIMには非対応、おサイフケータイ機能も利用できません。REDMAGICシリーズにはFeliCaが搭載されているのに、なぜこちらは非搭載なのかという疑問はありますが、基本的に複数台のスマートフォンを持ち歩く身からすると、そこまで不満はありません。メイン端末として検討している人は要注意です。
【まとめ】刺さる人にはブッ刺さるフラッグシップスマートフォン
ベストバイというテーマから、2025年に最も触った端末のnubia Z70 Ultra、そして最新機種のnubia Z80 Ultraについてご紹介してきましたが、改めて強調したいのは、誰にでもおすすめできる端末ではないという点です。
大きく重いサイズは、2025年のトレンドとは言えず、使いにくさを覚える人もいるはず。インカメラの性能はあまり高くなく、おサイフケータイ機能が使えない点も、困る人はいるはずです。
個人的には、これらの弱点が気にならなくなるほど、ディスプレイやカメラ、バッテリー、処理能力といったメリットを強く感じています。好き、嫌いはあるでしょうが、刺さる人には深く刺さる端末に仕上がっているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。