ついに施行「スマホ新法」でiPhone・Androidはどう変わる? ルール詳細とユーザーへの影響

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2025年12月18日、巨大IT企業による市場独占を是正し、競争を促すための新法律「スマホソフトウェア競争促進法(通称:スマホ新法)」が施行されました。

これに伴い、アップルは「iOS 26.2」をリリースし、グーグルもAndroid(Android 15以降)の仕様を変更するなど、スマートフォンの使い勝手に直結する変化が起きています。本記事では、この新法によって何が変わるのか、ユーザーへのメリット・デメリットを含めて解説していきます。

ユーザーの目に触れる「3つの大きな変化」

スマホ新法は、OS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジンの4分野での公正な競争を目的としています。これにより、ユーザーの体験は以下のように変化するとされます。

【参照】公正取引委員会 スマホソフトウェア競争促進法(スマホ法):https://www.jftc.go.jp/msca/

「デフォルトアプリ」を自分で選べる(チョイススクリーン)

これまでiOSなら「Safari」、Android OSなら「Chrome」が標準でしたが、初期設定やアップデート後に、ユーザー自身が使うブラウザや検索エンジンを選択する画面(チョイススクリーン)が表示されるようになりました。

ブラウザで言えば、Safari、Chrome、Edge、Firefoxなどに加え、Braveなどのプライバシー重視型ブラウザも選択肢に含まれます。

また、iOS 26.2では、メールやメッセージ内の住所リンクを開く際のデフォルトアプリを、アップルの「マップ」アプリ以外(Googleマップなど)に設定できるようになっています。

「外部アプリストア」の解禁

これまで、iPhoneではアップルの「App Store」からしかアプリを入手できませんでしたが、サードパーティが運営する「代替アプリストア」が利用可能になります。

Androidでは、もとより一部制限があったものの、ある程度自由にアプリストアの選択が可能でしたが、iPhoneでもアプリストアの選択ができ、Androidでもより自由にアプリストアがチョイスできるようになります。

各ストアで審査基準が異なるため、App Store/Google Playと方針が違うストアから、これまでの基準とは違うアプリが出てくる可能性もあります。

「アプリ外決済」と「Web課金」の拡大

アプリ内でのアイテム購入やサブスクリプション契約において、アップルやグーグルの決済システムを通さない「外部決済」や、Webサイトへ誘導しての決済が認められます。

お金に関するルールの詳細

ユーザーにとって気になる「アプリの価格」に影響を与える手数料のルールも変更されました。

従来、アプリ事業者はアプリ内でユーザーが課金するアイテムに対し、アップルやグーグルの決済プラットフォームを通す必要がありました。決済手数料は課金額の最大30%とされており、アプリ事業者はこの金額をアップルやグーグルに支払ってきています。

スマホ新法の施行により、外部決済を利用する場合の手数料が、アップルは最大15~26%、グーグルは最大20%に設定されました。

手数料が下がることで、アプリやアイテムの価格低下が期待されます。しかし、アップルは「欧州での先行事例では価格が下がった例は非常に少ない」としており、安くなるかどうかはアプリ開発者の判断に委ねられます。

また、外部ストアを利用する場合、別途「ストア利用料」などが上乗せされる可能性もあり、必ずしも安くなるとは限りません。

選択肢が増えることのリスクは念頭においておくべし

選択肢が増える一方で、利便性や安全面でのリスクも生じます。

アップルやグーグルでは、プラットフォーマーとしての責務を果たすべく、アプリの配信時には厳格な審査が行われています。この審査を経由しないアプリを入手できることになるため、マルウェアのリスクが懸念されます。

ただし、日本の法律では「公証」というプロセスが認められており、Appleは代替ストアのアプリに対しても、最低限のセキュリティチェック(自動化チェックと人間による審査)を実施し、安全性を担保するとしています。

一方で、外部決済や外部ストアを利用した場合、アップルやグーグルは返金対応やサブスクリプションの解約管理に関与できなくなります。トラブル時は、ユーザー自身が各アプリ運営会社や外部ストアに直接問い合わせる必要があるでしょう。

また、「親による承認」機能が効きにくくなるため、18歳未満の課金には保護者の同意を必須にするなどの制限が設けられています。

スマホ新法により「買い物できる範囲」が広がる

スマホ新法の施行により、「自由度と引き換えに、自己責任の範囲が広がった」と言えます。

iPhoneの場合、iOS 26.2へのアップデートで、ブラウザ選択やナビアプリの変更が可能になります。特にGoogleマップを標準にしたい人には朗報でしょう。Androidの場合は、Android 15以降で同様の選択画面が表示されます。

ただし、アプリ外決済や外部ストアを使う際は、「安くなるか」だけでなく、「サポート体制は十分か」を確認する必要があります。

今回の変化は、「これまでは駅直結の巨大デパート(App Store/Google Play)でしか買い物ができなかったのが、路面店や他のスーパー(外部ストア)でも自由に買い物ができるようになった」と考えるとわかりやすいでしょう。

路面店ではデパートより安く商品が買えるかもしれませんが、デパートのカスタマーセンター(返金対応など)は利用できず、お店と直接やり取りする必要があります。また、デパートの警備員が巡回していないエリアでは、偽ブランド品や危険な商品(マルウェア)に注意する「目利き」が、これまで以上に私たち自身に求められることになります。

ところで、スマホ新法の施行前から、SafariやChrome以外のブラウザは利用できる環境でした。セキュリティ面での安心感もあるため、わざわざ別のブラウザをデフォルトに設定できることを強く主張する必要があるのかという点には、疑問もあります。

ちなみに、今回の「スマホ新法」はあくまでスマートフォンを対象とするルールであり、同じくAndroidをベースとしているTVといったデバイスは対象外。もちろん、WindowsやMacにも直接は影響しません。完全に個人の意見ですが、Windowsのデフォルトブラウザ設定における、ユーザーに特定のアプリを強いる姿勢にこそ、何かしらのルールを設けてもらいたいなと感じています。

*記載内容は、公開日もしくは更新日時点のものです。最新情報については、必ず各公式ページをご確認ください。

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佐藤文彦

塾講師からの転職後、編集プロダクションを経てフリーライターに。ケータイ業界を中心に、ガジェット、通信技術に関する情報を幅広く取材中。三度の飯よりレビューが好き。スマートウォッチを付けていられる腕が足りないことが最近の悩み。(X:@fumihiko_sato_x

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