「2024年ベストバイのデバイスは何か」と尋ねられれば、筆者は「HUAWEI FreeClip」と回答します。これだけスマートフォンの取材をしておいてイヤホンかよというツッコミはともかく、それだけ装着感の軽さや機能面が気に入っています。
そんなお気に入りデバイスがさらに進化した「HUAWEI FreeClip 2」が、前モデル同様、クラウドファウンディングサイト「GREEN FUNDING」で12月12日より公開されました。短い期間ではありますが、一足早く実機を試す機会を頂いたので、使用感や前モデルからのアップデートポイントを紹介していきます。
軽量化、小型化でさらに着け心地がアップ
HUAWEI FreeClipは「イヤーカフ型」と呼ばれる、耳に引っ掛けて装着するイヤホンです。最近はJBL、Anker、BOSEといったメーカーがこぞって新製品を展開するほどの流行を見せていますが、いち早く取り組んだメーカーがHUAWEIと記憶しています。
製品の推しポイントでもあり、個人的にも気に入っているポイントが装着感です。耳に引っ掛けると聞くと邪魔そうなイメージを抱く人もいるかもしれませんが、かなり軽く、圧迫感がないため、装着していることを忘れてしまうほど快適です。

新モデルでは装着感がさらに進化しました。本体質量は片側9%軽量化した約5.1g、体積は片側11%削減され、物理的に軽く、着けやすく進化しています。

では、実際に装着感が向上したかと言われると、そこまでピンと来ているわけではありません。そもそも前モデルの完成度が非常に高かっただけに、使っていて大幅な進化を感じないのも、当然と言えば当然です。決して悪い意味ではなく、引き続き着け心地は快適そのものというわけです。
違いを感じるのは、C-Bridgeデザインと呼ばれる、パーツを繋いでいるアーチの部分です。外側には新しい液体シリコン、高性能形状記憶合金が採用されており、男性が25%強化されました。柔軟性が増している感触があり、耳に着け外しするタイミングでは、よりスッと動かせるようになったことが感じられます。

また、1万人以上の耳型データを活用して設計されたとのことで、装着していてもずれる感覚はあまりありません。ここは耳の形状にもよるところなので、合う、合わないはあるかと思いますが、個人的にはフィット感は抜群だと感じています。今回より、イヤホンの片側が落下してしまった際に、もう片方から音を出し、落下を知らせる機能も搭載されているため、本体をいつの間にか失くしてしまう心配も提言されています。
充電ケースはコンパクトで可愛く進化

本体の体積が小さくなったのに合わせ、充電ケースも改良されています。前モデルはツルッとした楕円形をしていましたが、今回は四角形のコンパクトなデザインを採用。面積は11%小さく、幅は17%スリムになりました。

面白いのが、本体を充電ケースにしまう際に、「クロス配置」という形でしまう仕組みになっており、空間利用率が向上しています。最初は取り出す、しまうという動作がつっかかることを懸念していましたが、うまい具合に重ならないような仕組みになっているため、違和感なく使用できています。

充電ケースの素材も刷新されており、「デニム風の質感」と表現されています。触った感触としては、デニムというよりは、車のダッシュボードのようなイメージに近くなっています。長期的に利用した際の汚れ具合が気になるところではありますが、手触りは非常にいいです。滑り落ちにくく、ワイヤレス充電機に置いていても、ずれにくいといったメリットもあります。
また、前モデルから引き続き、左右自動識別機能が搭載されており、イヤホン本体にはこっちが右、こっちが左という縛りがありません。充電ケースにしまう際に、左右を気にしなくてもいいという気軽さが便利です。加えて筆者は、仕事中は左耳にだけイヤホンを装着しているシーンも多いのですが、充電が切れても、引き続きもう片方を左耳につけられるというメリットもあります。
ちなみに、バッテリーはイヤホン単体で最大9時間、ケース併用時は最大38時間となります。10分で約3時間の連続再生ができる急速充電にも対応しています。連続9時間の駆動時間があれば、仕事中はもちろん、ちょっとしたフライト等に使っていても問題がありません。マルチポイント機能にも対応しているので、スマートフォンとPCやタブレットに接続しておけば、大画面での動画再生中にも、気軽に電話を受けることができます。
低音強化&初のNPUプロセッサ搭載で適応音量機能が便利に使える
本体には、HUAWEI独自特許となる、デュアル振動板構造が採用されており、音量は6dbアップ、音圧は体感で倍まで進化しています。
イヤーカフ型、もといオープン型イヤホンは、耳の穴を密閉しない関係から、低音域の響きが苦手な傾向があります。HUAWEI FreeClip 2も、カナル型イヤホンと比べると、体の芯に響くような低音の表現が得意とは言えないまでも、前モデルから着実に進化している印象を受けます。
音の表現は広がりを豊かに持たせる印象で、特定の音域を強化するというよりは、全体をバランスよく鳴らすことに強みがあります。特定の楽器の音をはっきりと聞くというより、オーケストラのような、さまざまな音域の表現をする音楽の方が適している印象です。
イヤーカフ型イヤホンの弱点が、どうしても周囲の音が耳に入ってしまい、音楽に集中しにくいというもの。周りを気にしながら使える点はメリットでもありますが、カフェなどで使っていると、再生音量を大きくしないと音が聞こえなくなってしまうこともあります。

HUAWEI FreeClip 2では、HUAEWI初のNPUプロセッサを搭載し、緻密な音声処理ができるようになっています。「適応音量」という、周囲の環境音に合わせ、再生音量を自動的に調節する機能が利用でき、わざわざスマートフォンやイヤホン本体から音量を調節する手間がなくなったのが魅力です。
気になるのが音漏れですが、逆音波を出すことで、周囲へ音が広がるのを抑える機能が搭載されており、意図的に耳元に近づかない限りは、あまり音漏れを気にする必要はないレベルになっています。
新しいジェスチャー機能と新しいアプリ

イヤホン側面、コンフォートビーンズと呼ばれる部分にはセンサーが搭載されており、再生や一時停止、音量調節といったコントロールがタッチ操作で行えます。また、頷いて受話、首を降って着信拒否といったヘッドコントロールも引き続き利用できます。

タッチ、ジェスチャーの設定に加え、装着検出機能の切り替え、デバイスを「探す」機能などが利用できるアプリとして、新たに「HUAWEI Audio Connect」を利用します。これまで配信されていたHUAWEI AI Lifeアプリから大幅に変更されているわけではないので、特別意識する必要はないでしょう。ただし、引き続きGoogle Playストアでは配信されておらず、Androidスマートフォンの場合は、ウェブから直接アプリをインストールする手間がかかります。
累計350万台を売り上げた人気モデルの最新機種として、満を持して登場したHUAWEI FreeClipですが、そもそも前モデルの完成度が高いゆえ、バッテリーの問題等が起きていない限りは、急いで乗り換える必要はないと思います。強いて言えば、小型になった充電ケース、新しいカラーリングが気に入れば、買い替えもありといったところでしょう。
一方で、まだイヤーカフ型イヤホンを使ったことがないというユーザーには強くおすすめしたいほど、個人的には気に入っているデバイスです。気になる人は、早割分の在庫がなくなる前に、ぜひチェックしてください。